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仮面夫婦とは
仮面夫婦とは、表向きは仲が良いと認識されているが、実際には夫婦間の関係が冷め切っている状態を指します。外部からは一見、通常の夫婦と変わらないように見えても、実は家庭内ではほとんど会話が交わされず、家庭内別居のような状態にある夫婦のことです。2015年のライブドアによるアンケート調査によると、熟年のカップルの中で約3割が仮面夫婦であると報告されています。
年代別に見ると、20代から30代の夫婦の中で自らを仮面夫婦と認識している割合は23.5％に上り、40代ではその数は29.5％に増加しています。また、日本家族社会学会の調査では、配偶者を家族と思わない女性の割合が12.9％に達し、この数字は年々上昇している傾向にあります。これらのデータから、仮面夫婦の存在は日本社会において決して珍しいものではなく、一見幸せそうに見える夫婦の中にも、実際は仮面夫婦である可能性があるということがわかります。
仮面夫婦の６つの特徴
1.家庭内での会話不足
家庭内でのコミュニケーションがほぼ皆無で、必要最低限の連絡すらメールやLINEで済ませる夫婦は、仮面夫婦である可能性が高いです。子どもの前では仲良く振る舞うが、子どもが関わる話題以外ではほとんど会話がない状況です。また、家での時間をできるだけ別の部屋で過ごすようにするなど、二人の空間が苦痛となっている場合も仮面夫婦の典型的な特徴と言えます。
2.お互いへの関心の欠如
外出先や帰宅時間、同伴者についても互いに関心を持たず、配偶者の浮気に対しても怒りは感じるものの嫉妬心は湧かない状態です。相手の興味や交友関係に対しても気にかけないため、夫婦としての絆が希薄であることが伺えます。
3.役割分担のみで成り立つ関係
夫が経済的な支援を提供し、妻が家事や育児を担当するという役割分担に満足しており、それ以外の夫婦間の関係性には興味を示さない状態です。このような割り切った関係性は、お互いに深い愛情を感じていない仮面夫婦の特徴です。
4.配偶者への愛情の欠如
特に女性は産後クライシスなどの影響で配偶者への愛情が著しく減少し、その状態が改善されない場合、夫も次第に妻への愛情を失っていくことがあります。このように、夫婦間で愛情を育むことができない場合、子どもの誕生後に仮面夫婦になるリスクが高まります。ベネッセ教育総合研究所の4年間にわたる調査では、妊娠期には夫への愛情を感じていた女性が74.3％いたものの、子どもが生まれた0歳期にはその割合が45.5％まで低下しているという結果が出ており、夫婦間の愛情の減少が顕著に見られます。
5.セックスレス
仮面夫婦の間では、セックスレスが一般的な特徴として挙げられます。加齢によって性欲が自然に減退することはあるものの、身体的には性交が可能な状態であっても性的関係が持てない状態に陥っている場合、それは仮面夫婦の典型的な状況と言えるでしょう。夜の営みが考えられない、または望まれない状態になっている場合、それは仮面夫婦である可能性が高いと考えられます。
6.人前での仲の良い夫婦の演技
夫婦関係が冷え切っているにも関わらず、親戚や知人、子どもの前では仲の良い夫婦を演じることができるのも仮面夫婦の特徴です。このような振る舞いは、お互いに世間体を気にしていることを示しています。その結果、離婚を選択するよりも、仮面の夫婦関係を続ける傾向にあることが多いのです。一見して仲が良いと思われがちな夫婦でも、実際には仮面夫婦である可能性が意外と多いのかもしれません。
仮面夫婦かのチェック項目
仮面夫婦の特徴についての理解を深め、自分自身がもしかしたら仮面夫婦かもしれないという疑念や不安を抱いている方々に向けて、仮面夫婦であるかを診断するためのチェックリストが提供されています。もしもこの状態に心当たりがある方は、以下のチェックリストを参照し、自己診断を試みると良いでしょう。
具体的なチェックリストは以下の通りです。
- 配偶者に対して愛情を感じることができない。
- 自宅での時間を共有していても、会話がほとんど交わされない。
- 休日を配偶者とは別々に過ごすことが一般的になっている。
- 会話の内容が子どものことに限られており、それ以外の共通の話題が見当たらない。
- 最後に性的関係を持ってから一年以上が経過している。
- 自身または配偶者が過去に浮気の経験がある。
- 配偶者以外の異性に対して関心が向いている。
- 夫が家計を支えるために収入を得ること、妻が家事や育児を担当することといった役割分担に割り切っている。
- 他人が見ている前では、意識的に仲の良さを演出する。
- 配偶者への関心が薄れ、相手のことを気にかけなくなっている。
これらの項目のうち、4つ以上に該当する場合は、仮面夫婦の予備軍である可能性が考えられます。7つ以上に該当する場合には、仮面夫婦であるといえるでしょう。
しかし、ここで提示されているチェック項目はあくまで一般的な指標に過ぎず、全ての人々に当てはまるわけではありません。例えば、健康上の問題により性的関係を持てない夫婦や、仕事の都合上、単身赴任で休日を別々に過ごしている夫婦など、特定の事情によりこれらの項目に該当するケースも存在します。したがって、自己診断を行う際には、自身の実情に照らし合わせて慎重にチェックすることが重要です。
仮面夫婦になるキッカケ
仮面夫婦への変貌を招くきっかけは様々であり、これらのきっかけを回避することが、仮面夫婦になるのを防ぐための重要な手段となります。そうした変化を未然に防ぐことは、仮面夫婦になってしまうことへの不安を抱える方々にとって、有益な対策と言えるでしょう。
仮面夫婦になるきっかけとして、以下のようなものが挙げられます。
1.配偶者の浮気が発覚した場合
それがきっかけで相手への信頼を失い、愛情が薄れることがあります。また、自分自身が浮気をしてしまった結果、浮気相手への感情が芽生え、配偶者への愛情が失われていくケースもあります。このような不貞行為は、仮面夫婦への変化を促す一因となり得ます。
2.セックスレス
セックスレスが長期にわたって続くと、配偶者への愛情が次第に薄れていき、稼ぐ人や家事・育児をする人としてしか見なくなることがあります。また、性的関係を拒否されることで、不信感が募る場合もあります。このセックスレスも、仮面夫婦になるきっかけの一つです。
3.夫婦間での生活リズムの不一致
会話の減少を招き、必要最低限の連絡事項のみのやり取りになることがあります。このような生活リズムの不一致も、仮面夫婦への変貌を促す要因となります。
4.結婚後に起こる夫婦の変化
例えば夫の収入減や出産育児に伴う容姿や価値観の変化など、配偶者の変化を受け入れられない場合、「こんなはずではなかった」と感じる夫婦は、仮面夫婦になる可能性があります。
5.夫婦間での価値観の違い
仮面夫婦への変化を促すきっかけとなります。結婚生活を続ける中で価値観の違いが明らかになり、相手の価値観を受け入れられないことで、夫婦の会話がなくなっていくことがあります。
6.最初から配偶者に対する関心が薄い場合
新婚当初は気づかなかったものの、時間が経つにつれてその無関心が明確になり、仮面夫婦になる可能性があります。特に、利害関係だけで結婚したカップルには注意が必要です。
仮面夫婦が離婚しない理由
メリット
実はいくつかのメリットが存在します。例えば、仮面夫婦であっても離婚しないことで、社会的な立場を守ることができるほか、経済的に依存している側にとっては、経済的な安定を享受することができます。さらに、子どもの心理面を考慮すると、両親が共にいることで安定した家庭環境を提供できると考える場合もあります。将来的な相続や年金関係の面でも、仮面夫婦が離婚しない選択をすることには一定のメリットがあると言えるでしょう。
デメリット
一方で、仮面夫婦が離婚しないことのデメリットも存在します。もし家庭内での苦痛が感じられる場合、その苦痛を長期間にわたって共有することは大きなデメリットとなります。また、子どもは親の感情を敏感に察知するため、たとえ夫婦が仲良く振る舞っても、その背後にある緊張感や不和を感じ取ってしまう可能性があります。このような家庭環境は、子どもの心に悪影響を及ぼすことが懸念されます。
仮面夫婦として生活を続けることは、一見すると家庭を守るため、または経済的な理由から選択されることが多いですが、その背後には様々な葛藤や問題が存在していることを忘れてはなりません。夫婦双方が心の底から満足しており、家庭生活において幸福を感じているならば問題ありませんが、どちらか一方、または両方が苦痛を感じている状態であれば、それは決して健全な関係とは言えないでしょう。仮面夫婦の問題に直面している場合は、夫婦でしっかりと話し合い、問題解決に向けてのアクションを起こすことが、家庭の健全な未来に繋がる第一歩となるはずです。
仮面夫婦の子供への影響は？
仮面夫婦の状態を維持していると、そのデメリットは子どもたちにも及ぶ可能性があることを、深く理解する必要があります。なぜなら、子どもにとって家庭は、困難や不安が生じた際に支えとなり、安心感を提供する基地のような存在であるべきだからです。しかし、仮面夫婦として父母が日常的に仲が悪い状態を続けている場合、その家庭はもはや子どもにとって安心できる場所とは言えず、結果として子どもが心の不安定さを抱える原因になりかねません。
このような家庭環境下では、子どもが愛着障害を発症するリスクが高まり、学業における問題、不登校、さらには非行に走るといった問題行動を引き起こす可能性があるのです。従って、仮面夫婦でいることが子どもに与える悪影響は計り知れないものがあり、深刻な問題として捉えるべきでしょう。
仮面夫婦の老後は？
仮面夫婦の将来、特に老後に関して考えると、夫の退職を機に共に過ごす時間が増え、その結果として夫婦間の苦痛が増大し、熟年離婚に至るケースが少なくありません。2016年の統計によれば、熟年離婚の件数は37,604組にのぼり、全体的に離婚率が減少している日本においても、熟年離婚率の減少は比較的緩やかであり、依然として高い水準を維持しています。これは、子どもの成人を待ち、良い父親や母親としてのイメージを保ちたいという親の思いが、仮面夫婦が離婚する一因になっていることを示唆しています。
そして、仮面夫婦が最終的に離婚を選択する場合が多い一方で、離婚手続きの面倒や周囲の目を気にして、卒婚という選択をする夫婦もいます。卒婚は、法的な婚姻関係を維持しながら、実質的にはお互いが自立した生活を送るスタイルを指し、仮面夫婦がたどり着く一つの解決策と言えるでしょう。このように、仮面夫婦でいることの結末は様々であり、夫婦それぞれの事情や価値観によって異なる道を選択することになります。
仮面夫婦解消のポイント
仮面夫婦の問題は、子どもや老後の生活にも影響を及ぼす可能性があるため、多くの方がその解消を望んでいます。仮面夫婦から脱却するために試みるべき具体的なステップは、以下の4つが挙げられます。
1.愛情が冷めた原因を考えてみる
まず、仮面夫婦を解消するための第一歩として、相互に不一致を感じている点について話し合うことが重要です。愛情の冷却がその原因である場合、愛情がなぜ冷めてしまったのかを自問自答し、その根本的な原因を見つめ直す必要があります。セックスレス、パートナーの不倫、頻繁な喧嘩など、多様な要因が愛情を冷却させる原因となり得ます。ただし、直接「愛情が冷めた原因は何か？」と問いかけると、パートナーを怒らせる可能性があるため、まずは自分自身で深く考え、その上で提案をしてみることが望ましいでしょう。
2.合わないと感じていることを話してみる
次に、夫婦間で合わないと感じることについてオープンに話し合うことが大切です。生理的な嫌悪感がない限り、どのような点がお互いにとってのすれ違いの原因になっているのかを確認しましょう。食事のマナーや趣味の違いなど、些細なことが実は大きなすれ違いを生んでいる場合もあります。そのため、夫婦間での些細な違いや不一致が生じていない別居して一度考えてみるかを、積極的に話し合うことが推奨されます。
3.別居して一度考えてみる
また、一時的な別居を経験してみることも、仮面夫婦を解消するための有効な手段の一つです。夫婦が日常的に担っている役割分担を一時的に解除し、別居を通じてお互いの存在の大切さを再認識する機会を持つことができます。別居がそのまま離婚に繋がる可能性もありますが、距離を置くことで自己の感情や考えを再評価することが可能になります。
4.本音を聞いてみる
最後に、パートナーの本音を聞くことも、仮面夫婦の関係を終わらせるための重要なステップです。上記の方法を試しても状況が改善しない場合は、相手の心の内を直接聞き出すことが唯一の解決策となるかもしれません。例えば、「もうやっていけない」という相手からの言葉を真摯に受け止め、それを踏まえて次のステップを検討する必要があります。仮面夫婦の状態をそのまま続けることは、最終的にはお互いにとって苦痛を伴う結果を招くだけです。
仮面夫婦解消策としてオープンマリッジを検討してみる
仮面夫婦の関係にある夫婦が抱える問題は複雑で、その解決策も一様ではありません。長年にわたる関係の中で、互いの愛情が薄れ、ただの同居人のようになってしまうケースは少なくありません。そんな状況を打破しようと、一部の夫婦はオープンマリッジ（開放的な結婚）を検討することがあります。
オープンマリッジとは、夫婦が互いに外部の人々との恋愛や性的関係を認め合う関係のことを指します。このアプローチは、従来の結婚の枠組みに収まらない新たな解決策として、仮面夫婦の間で話題に上がることがあります。
オープンマリッジを検討するメリット
- 自由度の向上：オープンマリッジは、個々の自由と個人的な成長を重視します。夫婦間での合意の下、互いに外部との関係を持つことで、新たな自己発見や満足感を得ることができるかもしれません。既婚者専用のマッチングアプリなどを用いて、セカンドパートナーを探してみることもお勧めします。既婚者専用マッチングアプリの詳細はこちら。
- 関係の透明性：オープンマリッジを機能させるには、高いレベルのコミュニケーションが必要です。この過程で、夫婦は互いに対する信頼と理解を深めることができます。
- 圧力の軽減：一方のパートナーに全てを求める代わりに、外部の関係を通じて様々なニーズを満たすことが可能になり、結婚生活における期待や圧力を軽減できる場合があります。
オープンマリッジを検討する際の考慮事項
- 両者の合意：オープンマリッジは両者の完全な合意がなければ成立しません。この選択が本当に互いにとって最善の道であるか、深く話し合う必要があります。
- 感情的な準備：外部の関係によって生じる可能性のある嫉妬や不安に対処するための心理的な準備が必要です。
- ルールの設定：関係の範囲やルールを明確に設定し、定期的に見直すことで、予期せぬ誤解や衝突を避けることが重要です。
- 家族や社会との関係：オープンマリッジを取り巻く家族や社会からの圧力や誤解にどう対処するかも検討する必要があります。
オープンマリッジは、仮面夫婦の問題を解消するための一つの選択肢ですが、この道を選ぶには慎重な検討と互いの深い理解が必要です。仮面夫婦がオープンマリッジを選択する場合、それは自らの関係を再定義し、新たな可能性を探求する勇気ある一歩となり得ます。しかし、それは同時に、自己の感情、パートナーの感情、そしてその選択がもたらす結果に対して、深い責任を持つことも意味します。
オープンマリッジの成功のために
オープンマリッジを成功させるためには、以下の点が重要です。
- 継続的なコミュニケーション：オープンマリッジでは、継続的な正直な対話が必要です。感じたこと、経験したこと、期待や不安など、すべてをオープンに話し合うことで、互いの理解を深めることができます。
- 境界線の設定：何が受け入れられて、何が受け入れられないかについて明確な境界線を設定し、それを定期的に確認し合うことが大切です。
- 感情の管理：嫉妬や不安などの感情は自然なものです。これらの感情に直面したとき、それらを健康的に処理し、パートナーと共有することが重要です。
- サポートシステムの確立：友人やカウンセラーなど、信頼できる第三者からのサポートを受けることも有効な手段です。外部の視点やアドバイスが、困難な時期を乗り越える助けとなることがあります。
オープンマリッジは、仮面夫婦の関係を解消し、お互いの幸福を追求するための選択肢の一つですが、この道を選ぶかどうかは、夫婦それぞれの価値観、期待、そして関係性に深く依存します。オープンマリッジを検討する際は、その選択がもたらす可能性とリスクを十分に理解し、互いにとって最良の解決策を模索することが求められます。仮面夫婦からの脱却は、一方的な解決策ではなく、お互いの幸福を最優先に考えた上での、共同の努力と決断によってのみ達成されるべきです。
